6m移動運用ワークショップ 2020年11月

はじめに

アマチュア無線を開局して、思うように楽しめないという方はいませんか。 自宅の立地条件やノウハウ不足など、様々な楽しめない理由があります。 アマチュア無線は交信することに楽しみがあり、交信できないと楽しくありません。 40年の私がそうでした。 コールしても交信ができず、「こんなつまらない趣味はごめんだ」と高校生のころに出した結論です。 開局後、5年で閉局しました。

アマチュア無線は免許の取得までは、様々な支援があります。 講習会やeラーニング、未経験者向けの紹介サイトなど充実しています。 しかし免許を取り、コールサインを取得したら「ご自由にどうぞ」というスタンスではないでしょうか。 自分で考え、少しずつ理解していく過程もアマチュア無線の楽しみではありますが、それでも最初の一歩は支援が欲しいところです。 入門者の自己流ほど的が外れる可能性が高く、よくわからずワッチを繰り返し、ノイズばかり聞いていたら1か月もすれば飽きます。

アマチュア無線を始めたばかりの局を、熱心に支援するクラブ局や組織はあるとは思いますが、受け入れ態勢が十分とは考えられません。 クラブ局などの既存のコミュニティーは、メンバーには気付かない、外部に対して閉鎖的な一面が存在します。 その様なクローズなコミュニティーに自発的に参加を申し出る勇気ある局は救われますが、そうではない局は孤立するままです。

個人レベルでできることは限られていますが、身近でできることを行えば、5年で閉局する方を少し減らすことができるかもしれません。 私は知識が浅いためセミナーは開けませんが、自分の経験を伝えるワークショップならできそうです。 自分ができることとして『6mの移動運用』にテーマを絞り、取り組みをスタートしてみました。

このページは、実験的に開催したワークショップの報告です。 このような小さな取り組みでアマチュア無線が活気づけば幸いです。 アマチュア無線が楽しい趣味であり続けることを願い、今後も活動していきます。

【ことわり】ここでのワークショップは、「参加者の主体性を重視した体験や研究」をさします。

概要

日 時:2020/11/01(日)  09:00~12:00
運用地:足利市(#1502)
周波数:50.150~50.300MHzの空き周波数
設 備:参加者の設備による
参加者:移動運用の経験がない局
    6mの移動運用に興味をもつ局
ファシリテーター:JK1SPQ

参加者

今回は実験的な取り組みということもあり、公募をせずに気軽に誘える2局に声をかけました。

A局  DXer。ペディションの経験多数。
    見るからに電波が飛びそうもないマンションの低層階に住む。それでもしっかりDXを楽しんでしまう強者。
    時々移動運用に同行しては、自作アンテナの調整するなど、ものづくりにも熱心。

B局  1年前に開局。
    マンションの低層階にある自宅での運用に、限界を感じている模様。最近FT-818NDとデルタループを購入。
    移動運用の経験なし。

実のところA局と私・JK1SPQが、無理やりB局を連れ出したというのが正解かも知れません。 正直B局が、アマチュア無線を楽しめているか心配でした。 今回はワークショップですので口うるさいことは言わず、実際に運用して経験を持ち帰っていただきます。

移動運用前の予習

経験の浅い方を移動運用に連れて行き、「さぁどうぞ」というのはかわいそうです。 最低限移動運用の基礎は資料を作成して、事前配布しました。
配布資料の内容は、交信の仕方とログの書き方だけのシンプルなものです。

集合

2020年11月1日。7:30に東武伊勢崎線足利市駅に集合しました。 自動車に乗り、駅から20分位で着く、足利市の移動運用では有名な「大岩山」に移動しました。

ワークショップ開始

まずは運用する場所からの景色を眺めてもらいます。 当日は天気も良く、多少の霞がかかっていますが、どういう場所が電波が飛ぶか見てもらいます。 6mの移動運用では地形の確認は重要で、運用さえすれはどこでも電波が飛ぶわけではありません。

その後、自分のベストと思う場所にアンテナを上げてもらいます。 B局は持参した1エレのデルタループを組み立て、1mHのカメラの三脚に付けます。 正直なこと言えば地上高が低過ぎると思いますが、体験しないと何を改善するか理解できません。 その場では指摘は控えます。

運用開始

アンテナが準備できると、持参した設備を使って運用を開始します。 オペレーションは事前配布の資料に合わせ、各自勝手に行ってもらいます。 経験の浅い局のオペレーションは、お世辞にも上手とは言えません。 ここで見本を見せたり、口を出しません。 運用を通じて、効率的なオペレーションを探ってもらいます。

今日のB局の交信目標は50局です。 複数局に呼ばれると慌て、どぎまぎしながら応答しています。 よほどのことがなければ、口をはさみません。 自分で気付くことが重要です。

運用が始まると

運用開始後、5エレのF9FTを上げました。 デルタループに比べると、格段に送受信のシグナルレポートが変わります。 弱い局も呼んできます。 途中でF9FTに切り替え、アンテナのゲインの違いを体感してもらいました。

パイルになり始める

複数局に呼ばれると、特に経験が浅いとパニックになります。 隣について、受信のフォローをします。 つまずいたところでコールサインの復調の手伝いをしますが、最低限とします。

コールする局のピックアップ順も任せます。 信号の強い局からピックアップしていますが、今はそれで十分です。 いつかは交信難度の高い局からピックアップできるようになればいいのです。

アンテナの実験

B局が冷や汗をかきながら運用している間、A局はこの日のために作ってきたJ型アンテナの特性を確認しています。 知っていたことですが、ダイポールを上げて比較すると、指向性があることがわかりました。 角度を変えて偏波面の違いを感じることができました。 45度程度の角度から、水平偏波にも使えそうな不思議なアンテナです。

いろいろなアンテナの特性を確認することもワークショップでできることです。

5エレに変更

呼ばれなくなったことろで、アンテナを5エレに切り替えました。 また呼ばれ始めます。 電波の届く範囲も広がり、弱い局が呼んでくると慌てます。

50QSOを目指して頑張ってもらいたいところですが、オペレーションに疲れを感じたタイミングでやめてもらいました。 それでも30QSOできましたので、はじめてにしては十分な成果です。

無理をさせないのも配慮です。

最後にA局がCWで少々、私も少々運用して終わりとしました。 本当はファシリテーターはやってはいけないのですが、せっかくなどで少し楽しませていただきました。

運用を終えて

経験から得ることは、各自で異なります。 問題と考えていることや目的が解決できると、ワークショップの参加は正解と言えるでしょう。 また移動運用に行きたいと言い出してくれると、今回のワークショップは成功と判断いえます。

セミナーとの違い

セミナーは受講者が受け身となり、受講者の理解度を確認せずに進行します。 これでは正しい理解にならず、価値観の押し付けにもつながる懸念があります。 最低限の知識付けはセミナーによる講義が必要となりますが、その確認と場としてワークショップの実施は有効と考えます。

アマチュア無線が衰退し、平均年齢が高まる中での関係組織の努力はありますが、草の根のアマチュア無線家を増やる取り組みは必要と考えます。 ファシリテーターの優劣が影響してくるワークショップですが、うまく運営できれば効果が期待できると考え、今後も開催を検討します。