応答を考える

相手を考えて、臨機応変に

なぜ、CQに応答するのか

言うまでもなく、CQを出しているその局と交信がしたいので応答します。 しかし、応答すれば必ず交信ができる訳ではありません。 CQを出している局が「交信したい」と思わなければ交信に至りません。 交信したくなる要素は、信号の強さは大きな要素ですが、応答した局の発音、言語表現力など音声信号の質があると思います。 また、CQを出している局の受信能力にも左右されます。

過去のことですが、何かと礼儀に欠ける局が応答してきました。 強く入感しているにもかかわらず、なるべく他局に応答して、応答されていないふりをしたことがあります。 気持ちよく交信したいという気持ちは全ての局に共通することだと思います。 この局とは交信したくないと記憶されると、交信の機会が減ります。

応答の基本の形

自局のコールサインをフォネティックコードで1回だけ応答。

50MHzの性質を考える

50MHzは、直接波による伝搬を基本として、反射や屈折、回折といった伝搬が楽しめます。 また気象に関係する対流圏によるダクトと呼ばれる伝搬、 HFの様に電離層を使ったスポラディックE層や太陽活動が活発な時に起こるF層による反射やスキャッターもあります。 また流星が連れてくる物質が作用するメテオ・スキャッターなどの伝搬もあります。

直接波による伝搬で、信号がそこそこ強い局同士の交信ならば、どんなフォネティックコードで応答しても相手局に通じます。 しかし弱い信号であったり、不安定なコンディションの場合は、奇抜なフォネティックコードで応答されると戸惑う可能性があります。 そもそも応答は、CQを出してる相手局に、自局の応答を認知してもらうものです。 どういう応答をすれば理解されやすいか、考えるべきです。

では、基本的に使用されているフォネティックコード以外を使ってはだめというわけではありません。 Jを「ジャパン」と言っても、国内ならば十分に通じますし、発音的にも有利かもしれません。 要は相手に確実に伝える手段であることを理解する必要があります。

余計な情報を乗せない

パイルアップを受けていると各局の多彩な応答を聞くことができ、面白さを感じます。 私がパイルアップを受けた時のピックアップのポリシーは、交信機会の少ないエリアの局、安定しない信号で弱い局、信号が強い局の順を意識しています。 その時、困る応答の局がいます。

サフィックスだけで応答してくる局。 プリフィックスを聞かなければならず、すぐの交信には入れませんので手間がかかります。 そのような理由から、プリフィクスだけで応答してきた局のピックアップは後回しにします。 これから50MHzを始めようとする局は、必ずプリフィクスとサフィックスで応答する習慣をつけてください。 サフィックスだけで応答するメリットは全くありません。

コールサインを2度以上送信してくる局。 これもすぐに交信に入れませんので、避けるべきだと思います。 ただし、あまり運用に慣れていない局のCQに応答する場合などは、状況に応じてゆっくりと複数回コールサインを送信してもいいかも知れません。 コールサインは1回厳守と決めつけず、円滑に交信には入るための配慮として考え、応答するべきだと考えます。

応答に県名や市郡名、山などの情報を入れる応答。 いけないとは言いませんが、50MHzのコンディション変化を考えると、余計な情報となる可能性があります。 これらの情報が、CQを出している相手局の志向に合った情報ならばいいですが、その逆の場合はメリットにはなりません。

弱い信号の応答は迷惑か

50MHzの世界では、ノイズすれすれの信号での交信が普通にあります。 信号の弱さを気にすることはありません。 免許として許され、自分の取扱える出力で、最良の表現により応答を行えば交信につながると考えます。

一部に信号の弱い局を嫌う局がいるかも知れません。 50MHzではまれな局だと思いますが、そのような方は近隣との交信のみ楽しむこととなります。 時々、「信号が取れません」と言っている局を聞きます。 個々に差がある受信能力ですので、仕方がないと思います。 私も取れない場合がありますが、そのような場合は弱い信号の相手局を迷惑とは思わず、自分の受信能力の低さを恥じ入るばかりです。

別の周波数でCQを出してほしい

その周波数に別の局が運用しているのにも関わらず、CQを出し始められることがあります。 CQを出すときはしっかり確認をしていますので責めることはできませんが、遠距離からの微弱な信号に気付かなかった、Eスポ等でスキップの関係で気付かないなど、状況は様々です。

できれは周波数をずらしてほしい。 その場合は、そのことを伝えなけばなりません。 ケンカを売るように「どけ」と言ったらトラブルの元となります。 どの様な応答がよいでしょうか。

先日、600kmほど先で運用する移動局の信号が入っているところ、気付かずCQを出してしまいました。 ご近所の局がその事実を伝えるために、出力を最小限に絞って応答してきました。 そして、この周波数に弱いながらも遠方の移動局が聞こえることを伝えてきました。

丁寧な応答に、人は素直に応じられるものです。 私がこの周波数に固執してCQを出し続けることにより、多くの局が遠方との交信機会を失います。 私もパワーを最小に落とし、教えてくれたことにお礼を言って周波数を移動しました。 相手の心を動かすような言葉を使えることが、真の上級者なんだと感じました。

ビートをかける

CQに対する応答として、ビートをかけるという行為があります。 また意図的に隣接周波数で運用を始めるという行為もあります。 これらは明らかに妨害であり、そのような行為は避けるべきです。

ある運用地で移動運用すると、ほぼ毎回1時間ほどビートをかけられます。 いつものことなので腹も立たず平然と交信をするのですが、その局は自分の貴重な時間をCQの邪魔をするために浪費をすることとなります。 せっかくの時間です。 時間は有効に使いましょうと言いたいです。

表現としての応答

PHONEの場合は、低音より高音の方が聞きやすいというのは確かなようです。 例として、女性オペレータの信号が聞きやすいという事実は納得していただけるものと思います。 では、低音の男性はどうすればいいかというと、気持ち高い声を出すことにより、相手局のピックアップ率に影響してくるのではないかと推測します。

応答の速度、発音も表現の一つです。 全ては応答したCQを出している局にピックアップされるための表現技術と言えます。 ただ応答すればいいというわけではなりません。 自分の音声の制御は、自分なりに考える必要がありますので、実際に応答を通じて、いろいろと経験する必要があると思います。

アマチュア無線をはじめたばかりの方は、応答には基本形のフォネティックコードを正確に記憶することをお勧めします。 基本形の理由を理解せず、他局のマネをしても、正しい交信スタイルは身につかないと考えるからです。 まずは基本を身に付け、それから自己表現を加えてもいいと思います。

応答について述べてみましたが、相手に伝えることが目的です。 的確にコールサインを伝え、50MHzの交信を楽しんでいただきたいと思います。