Compass 方位磁石
水平偏波のアンテナを使う場合、電波を飛ばしたい方向へアンテナを向ける必要があります。 はじめて移動運用する場所などは、方角が分からなくなる場合もあります。 このような時に、方位磁石は使用するといいでしょう。
スマートホンのアプリに方位磁石がありますので、こちらを使うこともできます。 方位磁石は小さなものですから、工具箱の中に方位磁石を入れておくことをお勧めします。
目的地に最大限の電波を送る
モービルホイップなど垂直系のアンテナは、水平方向に360度電波が飛んでいきますので方向を考える必要はありません。 楽なアンテナではありますが、目的外の方向にも無駄に電波を飛ばすことになります。 FMモード以外の6mでは、多くの局が水平偏波のアンテナを使っていますし、 電波をより目的の方向に飛ばすためにもダイポールや八木アンテナなどの利用をお勧めします。
ダイポールはアンテナの水平面に対して前後90度の方向、八木アンテナは前面が一番強く電波の送受信ができます。 したがって飛ばしたい方向にアンテナを向ける必要があり、方位磁石が必要になるのです。
地図と方位磁石はセットで
例えば大阪の局が東京の局のパイルアップを受けているとき、北関東から応答しても気付いてもらえないことがあります。 わずかに方向が異なることから生じることで、特に利得が高い他エレメント八木などを使っている場合は、 わずかな角度の違いも大きく影響します。
このようなことから、正確な方向を知ることが大切です。 さらに日本の地形を記憶しておくことも重要です。 移動運用に出かける場合は、方位磁石と一緒に日本地図を持っていくといいでしょう。 方向に対する気遣いが、交信距離を伸ばすことにつながることもあります。
ビーコンを使う
6mでは、各地でビーコンが運用されています。 例えば栃木県内で移動運用する場合、東京方面は大田区のビーコンをチェックし、 いちばん強く入感している方向が東京23区の方向です。 グランドウェーブで大阪と交信したい場合は三重のビーコンを確認し、 いちばん強く入感している方向から少し北に向ければ正しい方向です。 7エリアだと福島のビーコンを確認し、太平洋側か日本海側で左右にアンテナを振れば方向に間違えではありません。
しかし、ビーコン利用できない地域や聞こえない地域もあります。 その時は方位磁石を使います。 ビーコンと方位磁石の併用で効率よく電波の送受信を目指すことが、移動運用の成果につながります。
SPQの移動運用事件簿
その1.山でガスに覆われて
山の中の移動運用で、ガスに覆われたことがあります。 周囲は何も見えず、ビーコンを頼りにアンテナの向きを定めました。 ビーコンはいつもより弱く、原因をコンディションと決めつけて運用を始めました。 あまり応答がありません。
ガスが薄れてきて、景色が見えるようになりました。 そこで気付いたことが、アンテナの向きが180度逆ということでした。 感覚でアンテナを向けてしまった結果、応答されないCQを出し続けたというお粗末な結果でした。
その2.下山できず
運用が終わり下山しようとすると、突然ガスに覆われました。 登山口まで30分くらいなので大丈夫だと、山道に沿って歩いていくと、先ほど運用した場所に似た場所になりました。 まさかとは思いましたが、そのまま歩くとまた同じ風景が見えます。 おかしいと思い、地図で確認すると、分岐を間違えてもとに戻ってしまったようです。 ガスに覆われて周囲が見えなかったこともありますが、地図と磁石で確認しながら進めば、 このような事態にはなりませんでした。