電波の飛び方

カンタン入門 電波の飛び方

6mでは、水平偏波のアンテナが使われます。 理由はエレメントの長さが3m位とそこそこ長く、水平の方が取り回しやすいからと推測しています。 モービルでの運用の場合は、垂直偏波のホイップアンテナが使われます。 自動車は走ることにより向きが変わってしまうので、無指向性のホイップアンテナを選ぶしか選択肢はないと思います。 水平と垂直の差は、グランドウェーブの交信の時にシグナルレポートに差が出てきます。 自動車の様に頻繁に動き回らない移動運用では、偏波面を合わせて水平偏波のアンテナを使いましょう。

電波は当然のことならが、見ることができません。 見えないから無視するのではなく、電波の飛び方を想像し、どう飛ばすべきか考える必要があると思います。 水平偏波のアンテナは大地の影響を受けて、打上角(垂直面の指向性)が変化します。 どの位の角度で電波を飛ばしたらいいか、想像しながらアンテナをたてる位置を考えるのも移動運用の技といえます。


まずはダイポールで考える

1/2波長のダイポールは水平面の指向性が8の字になることは、皆さんご存知のことと思います。 打上角は大地を完全導体とした場合、1/2波長の高さ(6mならば3m位)に上げると、30度位の角度で電波は飛んできます。 この角度は、Eスポが発生しているときは丁度良さそうですが、グランドウェーブでの交信には向いていなさそうです。

参考文献.アンテナハンドブック

1波長の高さ(6mならば6m位)ならば、15度くらいの角度。 3/2波長の高さ(6mならば9m位)ならば、見えないですが、10度位の角度で電波は飛んでいきます。 さらに大地の方向に曲げながら飛んでいくようで、ある程度の高さに上げたダイポールは、そこそこ電波は遠くまで飛ぶことになります。

私は残念ながら理論的に説明はできませんが、ダイポールを使った経験でいくつか紹介できます。 平地で4m位の高さに上げたダイポールは、飛びが悪いと感じます。 その反面切り立った山頂などに、ダイポールを上げると思いの外よく飛びます。 推測ですがダイポールを上げた場所の地形が地上高として作用し、打ち上げ角を低くしているものと思います。 300km位は飛んでいくことがありますので、ダイポールは飛ばないのではなく、飛ばす工夫をすればいいのです。

昔話をしては嫌がられますが、昔は近所の先輩局にダイポールを勧められたという話はよく聞きます。 推測ですが、ダイポールで経験を積むことにより、電波の飛び方を意識できるようになるように思えます。 他エレメントの八木に比べると、ダイポールはやはり非力です。 その非力なアンテナを使って飛ばす工夫ができれば、後に利得の高いアンテナを使うとより遠くへ電波を飛ばせます。 この意識は、移動運用では重要だと思います。

ただし運用局が少ないエリアは、ダイポールを上げても全く交信にならないということも考えられます。 Eスポによる交信であれば、ダイポールではないアンテナが最適というケースがあります。 地域の実情に合わせて、アンテナを選ぶ必要がありますので、その辺は臨機応変に。


山を電波で越える

関東平野は国内で一番広い面積ですが、100km位先には平野周辺を取り巻く山があります。 6mの電波をさらに飛ばしたいときは、電波が山を越すことを意識しなければなりません。 1エリア以外の平野部での運用や山に囲まれた地域で運用するときは、山を越せないと6mはローカルQSO専用バンドになってしまいます。

6mの電波は回り込む性質から、山岳の回折によりさらに遠くに飛ぶことがあります。 また反射もあります。 使うアンテナの利得や打ち上げ角を意識すると、より遠くへ電波は飛んでいきます。

さすがに一方向により強力な電波を送った方が山岳の回折は有利ですので、ダイポールでは非力に感じるかもしれません。 そう感じたときには、利得の高いアンテナを検討するといいでしょう。 電波の飛ばし方を意識せずに多エレメントの八木に慣れてしまうと、特にグランドウェーブでの交信で差がついてしまいます。 6mはグランドウェーブ、Eスポ、スキャッター、その他不思議な現象がたくさんあります。 様々な伝搬を味方につける意味でも、ぜひ向こうに見える山を越す意識を持って運用してみてください。


人を意識する

アマチュア無線のアンテナは、一般的に目立ち、あやしく思われるようです。 特に6mは、エレメントが1.5m位ありますので、そこそこ目立ちます。 その様な理由もあり、特に観光地や一般の方が利用する設備の利用は注意が必要です。

移動運用で職務質問を受けたことを武勇伝として話す方もいますが、これは自慢にはなりません。 そもそも怪しいから質問を受けるのであって、怪しまれる行動をしている我々はナニモノとなります。

移動運用でベストな場所は、人に会わない場所です。 このような場所は、特に大都市圏では非常に少ないのです。 もし観光客や地元の方に「何しているのですか」と聞かれたら、親切な対応が必要です。 移動運用はアマチュア無線の広報的な一面があります。 移動運用を行うときは、このことを意識して欲しいと思います。


ただアンテナ上げればいいってもんじゃない

移動運用を繰り返すと、自分が使うアンテナでどの高さに上げれば、どこと交信ができるということがわかってきます。 アンテナの上げる位置を少し変えるだけで、交信できるエリアが変わります。 移動地に着いたら、どこにアンテナを上げたらいいかよく観察してください。

グランドウェーブで、より遠くに飛ばしたい場合、山の中でしたら飛ばす方向が傾斜になっている場所を選んでみてください。 崖上になっている場所はベストです。 自然の地形が、打ち上げ角を低くしてくれます。 この点からも移動運用をはじめて間もない方は、その様な地形がたくさんある山での運用がお勧めできます。

山の中では山頂で運用するがベストですが、著名な山では登山客がたくさんいます。 山のピークは狭かったり、撮影スポットになるケースがありますので、混雑しているところもあります。 その場合はピークから少し下ったところや、時間、季節などずらした運用地選びがよいと思います。

平地でグランドウェーブで遠くへ飛ばす場合は、土手の上などちょっとした地形を利用しましょう。 よく土手の上で運用する局も多いと思いますが、土手の上は地上高を稼げる地形です。 もちろん飛ばしたい方向に傾斜がある場所にアンテナを上げるといいと思います。


水辺の不思議

よく水辺は電波の飛びがいいと聞きます。 理論的に説明ができないのですが、なるほどと思う経験は多くあります。 同じ移動地で季節を変えて運用すると、グランドウェーブの伸びの違いを感じることがあります。 水田に水が引かれた時期と乾燥した時期、田んぼの真ん中で運用する場合は、どちらかといえば水田に水が張ってあるような状態の方が飛びがいいように思えます。

栃木南部で移動運用をすると、田植えが終わった時期に水田近くで運用すると、標高があまりなくても岩手の局の電波が強く入感します。 水田は季節限定となってしまいますので、いつも水があるような海岸や湖沼、川の近くは狙い目の移動地だと思います。 しかし、平地での運用の場合は、それなりの高さにアンテナを上げる必要がありますので、水辺ならばアンテナを上げると飛ぶという訳ではありません。


Eスポがでたら

私が移動運用する場合、Eスポ狙いの場合は平野部でアンテナを6m前後に上げます。 これは肌感なのですが、この程度の高さのほうがいいように感じます。 特に近距離のEスポの場合は打ち上げ角を高くした方が有利です。

これは移動運用の経験ではありませんが、自宅ではマンションの6階に2エレのHB9CVと垂直のロングワイヤーを上げています。 6階の高さになると、水平系のHB9CVの打ち上げ角は低くなります。 Eスポでの交信は、台湾や香港などの地域と簡単にできます。 国内はイマイチ効果がなく、垂直系のロングワイヤーに切り替えるとSで1~2程度強く入感することがあります。 特に1エリアですと、8エリアと6エリアが同時にオープンすることもありますので、こんな時は無指向性の垂直アンテナが便利かもしれません。

Eスポは、発生する位置や反射する角度が一定ではありません。 一概に言えませんが、Eスポがでたら、国内の場合はできる限り打ち上げ角を高くすることといいと思います。 アンテナを向ける方角も一定ではありませんので、耳を頼りに最適な条件を探る必要が出てきます。 これがインターネットなどの確実な通信ではなく、電波の不思議さを感じる趣味の世界となります。


頭の中で電波を飛ばさない

移動運用は、経験は一番です。 電波は様々な条件で飛び方を変えます。 しかも見ることができないため、実際に運用することが理解の近道だと思います。

ただこれだけは間違えないと思うことは、6mの移動運用になれていないときは、ぜひ山の上での運用をお勧めします。 そこで崖などの標高差のある場所にアンテナを上げてください。 平野部を見下ろせるような低山は、気軽に行ける移動運用のポイントがたくさんあります。

悩むより経験です。 これは私に6mを教えてくれたローカル局のアドバイスです。 まずどのような交信ができるか、実際の移動運用で経験してみてください。