オールJAコンテスト 2020   


STAY HOME。
新型コロナウィル感染症の流行のため、緊急事態宣言が出されています。 不要不急の外出自粛の要請があり、移動運用に行くことは避けるべきと判断しました。 私は基本的に、なるべく人に会わない場所を運用地として選びます。 そうであっても、完全に人に会わない保証がありません。 一日も早く、自由に移動運用が楽しめ、コンテストを楽しめるようになるためにも、今は我慢が必要です。

移動運用はできなくとも、自宅でもコンテストに参加できます。 いろいろな制限はありますが、アクティブに運用するほうが趣味として正解だと思います。 できる範囲で十分楽しんでやろうと考えました。

今回の異例なコンテスト。50MHzにこだわり、『50MHzシングルバンド・電信電話』で参加します。

【おことわり】本ページ内の日本地図はデザイン化したもので、方角や縮尺、位置関係は正確ではありません。


自宅で参加するコンテストとは
昨年(2019年)の全市全郡コンテストは、ちょうどコンテスト開始時間に関東地方は台風の通過があった。 移動運用で参加を計画していただけに残念であったが、無理やり運用地に向かわなくて正解だった。 運用予定をしていた場所は大雨による崩落があり、その周辺は河川の決壊が起き、大きな被害が出ていた。 移動運用は、命を懸けるものではない。自然をなめてはいけない。

自宅のベランダに付いている2エレのHB9CVは、幸い風の影響は受けていなかった。 ビスの緩みを確認し、アンテナの撤去は不要と考え、そのままとした。 コンテスト参加直前、アンテナは多少しなっているが折れるほどの風がない。 急遽、自宅での参加とし、そこそこ楽しめてしまった。

この経験をもとに、やり方次第で自宅のベランダの小さなアンテナでも楽しめるということが分かった。 外出自粛の継続で、気持ちをスカッとさせたい。 ならば自宅で運用して、どこまで楽しめるかやってみることとした。 どうせ参加するなら、楽しまないと損である。


どこまでできるか
昨年の全市全郡コンテストでは、50MHzだけで158交信できた。 では200交信を目指そうとSNSでつぶやいたら、ローカル局から「難しいのでは」という意見がきた。 勢いで200交信を宣言してしまったが、冷静に考えると難しそうである。 目標は個人のものなので、達成できなくても笑って済ませる。とりあえず200交信を目標とした。

交信数よりマルチが問題である。 ベランダのアンテナは南向きに固定され、直接波で交信ができるのは東京の多摩川沿いと神奈川県だけである。 参加局のほとんどが移動運用を自粛すると仮定すると、交信の見込みがあるのは1エリアの8マルチに静岡県。 Eスポは時期的に期待できないとして、運よくスキャッターを捕まえられればという考えで10マルチを狙う。


準備を急ぐ
自宅には、シャックといえる無線部屋がない。 アンテナが付いているベランダに面した居間にリグがあるが、ここで大声を出すと家族からうるさがれる。 結局、家の中に同軸ケーブルを横断させ、アンテナとは反対側にある物置のような部屋に引き込み、ここにリグをセットした。

『家庭内移動運用』、そんな表現がぴったりのスタイルである。 余計な同軸ケーブルの影響でSWRが少々高めであるが、マニュアルチューナーを使ってSWRを下げた。 準備が終わったところで、食事をして風呂に入り、21時のスタートを待つ。 普段と同じ生活をしながら参加できることは、移動運用とは大きな差がある。快適だ。


スタート前
20:55、空き周波数を探す。 すでに50.300MHzから、ずらっとCQが並んでいる。 今回はマルチオペ種目が中止となり、クラブ局が少なくバンドは静かである。 いつもバンド内が聞こえなくなるような電波を出し続ける、隣町の大学のクラブ局もいない。

50.370MHzに空きを見つけた。 ここで3分ほど長めのCQを出し、周波数を確保した。


コンテスト開始
さぁ、コンテストの始まり。 最初のCQで、数局が固まって呼んでくる。 ここは効率を上げるために、確実にコールがとれる局から交信する。 サフィックスだけの局はペースが狂うので、申し訳ないが後回し。 1分間2,3局のペースでの交信が続く。

スタート直後から連続して呼ばれた。 移動運用の自粛で参加局も少ないと思っていたが、皆さん自宅から参加されているようだ。 片手でマイクをコントロールしながらキーボードを叩く。 こんなに忙しいコンテスト開始は久ぶりかもしれない。


22時を回って
22時1分に、交信数が100を越えた。 最近は22時台になると、交信数が減ってくる傾向にある。 案の定、空振りのCQが目立ち始めた。

CWに切り替える前に、不真面目なことにビールを飲む。 キッチンでつまみを口に入れ、小休止。 こんなことができるのも、自宅でのコンテスト参加のいいところ。 10分ほどロスをしたが、これから眠くなるまで頑張る栄養補給である。

まず50.250MHzから順にCWで交信していく。 CWの運用局は、皆さんテンポのよい信号を送ってくる。 一通り呼び終わったところで、バンドの端で低速CQを出す。 遅い交信にお付き合いしていただいた皆さんに、感謝するばかりである。

結局、CWは苦手意識がありながらも、150を越える交信をした。 苦手なモードは、運用して疲れる。 苦手意識の払しょくが、今後のテーマであることは間違えない。


電池が切れる
日付が変わると、途端に眠くなる。 最近は夜更かしができない。身体が電池切れの様になる。 居眠りをしながらの運用するならば、一度しっかり寝て朝から再スタートするべきだと考えた。

何時に起きよう。 グランドウェーブの伸びを狙った早朝の運用も考えたが、南向き固定のアンテナでは頑張れないと判断し、6時までしっかり眠ることにした。 寝袋ではなく、布団で寝られるコンテストは、こんなに快適なんだ。今更ながら感じる。


目標交信数の変更

朝起きて支度をし、コーヒーを一杯飲む。 現在の交信局数は184。これなら目標の200交信は越えそうである。さらに100交信上積みし、300交信を目指す。

マルチが増えない。 移動局がいれば簡単に交信できる福島の運用局は見当たらず、隣の山梨県の局も発見できない。


その後ずるずると
午前中はそこそこのペースを保てたが、午後になると交信数がさっがてくる。 空振りのCQに気持ちがくじけないよう、食事は家族としっかりとった。 食事や休憩をいれることで、やる気だけは維持できた。

昼食をとって間もなく、交信数が300を越えた。 これはもう少し伸びそうであるが、これからが辛抱の空振りCQが続きそうだ。 CQを出している局はほとんどが交信済みで、ひたすらCQを出す。 1時間に10交信を目指して、空振りCQを出しまくる。 夕刻になって、ようやく山梨の局と交信できた。


最後の2時間
ぴたっと呼ばれなくなった。 このコンテストを通じて、最も辛い時間帯だった。 何度か途中でやめてしまおうと思ったが、もう少しで400交信に手が届きそうだ。

終了20分前に、400交信に達した。 自宅の設備で400交信は、できると思っていなかった。 疲れた。 最後の20分はCQを自動送信に任せ、20時59分に停波した。


コンテスト反省会
オールJAコンテストに参加された皆さん、お疲れさまでした!(乾杯~)
これから一人でコンテスト反省会を開きます。

今回はいつもと違う雰囲気でのコンテストになりましたが、集合住宅で向きを変えることのできない2エレのHB9CVでも400交信を越えられたということが大きな発見でした。 設備がライトで、Eスポやスキャッタの助けもなく、マルチを稼ぐことができませんでした。 そこそこの交信数の割には、スコアが伸びませんでしたが、1日頑張ったという爽快感あるコンテストでした。

移動局がかなり少なく、いつもは自宅でも交信できてしまう静岡より西の2エリアのマルチ、0エリア、福島など、落とさないマルチを落としてしまいました。 ここは仕方がないことですが、屋上に5エレ以上のアンテナが上げられ、ローテーターが使えれば、移動運用をしなくても十分コンテストで戦えると思いました。

疲れもあって、ちょっと酔ってきました。

クラブ局がほとんどいない状況は、局数が減ってさみしいという気持ちより、かえって快適な参加ができました。 理由はあえて述べませんが、平和なコンテストは今回が初めてです。



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