なぜWACAか ~ 取りつかれるのは、目標が明確だから ~
仕事でも趣味でも、目標があることでやるべきことが明確になります。 目標があるから、真剣になれます。 私は50MHzのSSBで、WACAアワードを受賞するという目標を持ちました。 開局当初からの目標かといえば、そうではありません。 たまたまなのです。
WACAを目指したきっかけ
50MHzをはじめて間もない頃、旧友と交信する機会がありました。 その後、久しぶりの再会をし、大人に変わっていた旧友に多少の驚きを覚えました。 その反面、趣味に熱中する姿は子供の頃から変わらず、懐かしく思えました。 この再会がWACAアワードへ第一歩になったことは、当時予想もしていませんでした。
子供のころから何事にも熱中する旧友は、50MHzに強烈な情熱を注いていました。 類は友を呼ぶようで、旧友から紹介される栃木県内のアクティブ局が、強烈な50MHzオタクでした。 彼らの共通する目標は、WACAとWAGAの受賞。 CQを出して、ただパイルを浴びられれば満足していた当時の私とは別世界の人たちでした。
彼らの移動運用スタイルは、驚くものがありました。 移動運用といえば軽装備の運用を想定していましたが、彼らは重装備です。 何もないところに10m近い高さに6エレの八木アンテナが上がり、発電機稼働でしっかり50Wで運用します。 「この人たちは一体何者?」と思いました。
彼らに、50MHzのあらゆることを教えていただきました。 どちらかというと体育系のサークルにように、厳しいアドバイスでした。 もたもたしたオペレートをしていると、指導が入ります。 コールの仕方が悪いと、突然「そんなヘボオペじゃ、交信できないぞ」と厳しい声がスピーカーから流れます。 聞かれている緊張もあり、気の抜けない運用がしばらく続きました。 しかし、彼らと付き合えば付き合うほど50MHzの魅力が理解でき、50MHzにどっぷり浸かることとなりました。 現在の私があるのは、彼らのお陰と感謝しています。
[追記]
アマチュア無線は、あるレベルまで達しないと楽しめません。
私の場合、幸いローカル局のアドバイスがあったからこそ楽しめるようになりました。
もし、ローカル局と出会うことがなければ、適当なところで辞めてしまったかもしれません。
しかし、すべての方がローカル局等にノウハウを教えていただけるわけではないと思います。
昔は地域のクラブなどが、手厚い支援をしていたように思えます。
もし地域にクラブ局があれば、参加してみるといいかもしれません。
WACAにとりつかれた
私は都内に住み、その頃の常置場所は足利市にありました。 WACAアワードは、当時のルールで「同一都道府県内で運用し、交信して得たQSLカードが有効」ですので、迷わず栃木県内で受賞を目指しました。 土日は毎週、100キロ離れた栃木に向かいます。
好きなことをするためには、多少の移動は当たり前だと思いましたが、周囲からはかなり物好きに映ったようです。 「毎週毎週栃木に戻って、移動運用に出かけるなんて好きだね~」と、よく言われました。 まるで何かに取りつかれたような目で見られました。 家族にもあきれられましたが、悪い遊びをするわけではないので、比較的快く移動運用に出かけることを許してくれたと思います。 栃木に向かう道中は苦痛もなく、明日のコンディションやまだ交信していない市や郡との出会いを夢見て、楽しく東北道や関越道を走りました。
とにかく全市と交信したかったから、WACAアワードを受賞したいという目標が一生懸命にさせたものだと思います。 もし目標がなかったら、毎週毎週アマチュア無線のために栃木に戻るなんてことはしなかったかもしれません。
[追記]
2000年7月にWACAを受賞してから、栃木に行く回数が減りました。
目標がなくなったからだと思います。
足利市には父母がいますので、孫に会いたがっています。
私は親孝行のよいせがれですので、できる限り足利に戻り、WAGAアワードを目指して全郡との交信を目指したいと思います。
目標クリアの喜びと苦しみ
私はWACAアワードを5年かけて全市と交信し、受賞しました。 完成の瞬間、5年間の思い出が頭の中を駆け巡りました。 多大な時間を費やした訳ですから、喜びは大きいものでした。 その反面、やっと終わったという気が抜けた安堵感もありました。 喜びは、残念ながら文章で表現することができません。 目標をクリアできた者だけが味わえる「ごほうび」です。
[追記]
全市と交信できた瞬間は自分では喜んいると感じていましたが、実は心の奥底に単純に喜んでいない自分がいたように思えます。
完成したこと自体は非常に喜ばしいことなのですが、かなり無理をして完成させた経緯がありますので、知らず知らず自分を追い込んでいたようです。
完成後、アマチュア無線という自分の唯一の趣味と距離を置いていました。
アワードを完成した後、力尽きてアマチュア無線から離れないためにも、楽しみながらゆっくり完成させるほうがよろしいように思えます。
アワードは自分の満足のためにやるもので、家族に褒められたり、給料が上がるわけではありません。
無理せず、ゆっくり楽しむことをおすすめします。
初志貫徹
「50MHz・SSBでWACAを目指す」と心に決めても、いろいろな誘惑がでてきます。 全市交信まで残り30市の頃、たまたま聞いたHFで未交信の市のCQを見つけました。 国内QSOでにぎわう7MHzや21MHzを聞くと、意外と未交信の市が出ています。 「とりあえず、SSB特記のWACAを申請して」などと、誘惑につられそうになりました。
このような誘惑は、全市交信残り10市になるくらいまで続きました。 初志貫徹で終えることができましたが、結構強力な誘惑であったことは間違えないです。 1つのバンド・1つのモードでのWACAアワードの受賞は、それなりの重みがあるはずです。
[追記]
50MHz・SSBにこだわれて、今でもよかったと思っています。
もし他のバンドを混ぜて、SSB特記だけのWACAを受賞していたならば、シングルバンドのWACAは辛くて断念していたかもしれません。
それくらい50MHz・シングルモードのWACAは、価値の高いものだと思います。
アワードの存在
アマチュア無線の楽しさを語る上で、アワードの存在は大きいと思います。 目標がないとなかなか熱中できないもので、アワードを目指すと真剣さが違ってくると思います。 同じ時間を趣味で過ごすなら、時を忘れるくらい熱中したほうが充実感がありますし、楽しさも一味違うと思います。 頑張った結果、目標のアワードが達成できたときの喜びは格別なものです。 一度経験すると毒されてしまい、やめられない体になってしまったのは私だけではないはずです。